8月27日から、ヴェネチア国際映画祭に参加してきました。SIGNIS賞の審査員としてです。映画の制作者として、ほかの方の作品を審査するというのは、なかなか複雑な気分ではありますが、とても名誉なことです。SIGNIS賞は、キリスト教・カトリックが与える賞で、「もっとも福音的な」映画に賞を与えるものです。ちなみにカンヌにエキュメニカル賞と言う名前で、カトリックとプロテスタントで与える賞がありますが、あれに近いものです。僕は2016年に香港国際映画祭でも審査員をやらせてもらって、2回目です。アジア域で、映画の専門的な知識があり、キリスト教の専門的な知識がある人が、どうやら少ないらしく、僕に白羽の矢を立ててくださいました。
現地ではとても楽しく、エキサイティングな、大忙しの、映画漬けの日々を過ごしました。ヴェネチアの街を堪能する時間なんてものはほとんどありません。映画祭の全日程に参加して、21本のコンペ作を逃さず観なければならないので。しかも全部英語か英語字幕です。
ただ、苦労した甲斐があって、素晴らしい映画に沢山出会いました。受賞作の「Babyteeth」は本当に素晴らしかったです。あの奇妙なストリーテリングがなんとも堪らないし、役者たちが見事でした。スペシャルメンションの「Waitig for the barbarians」は、まさに福音的な領域にストライクの球を投げたような作品でした。そして僕がひたすら推しまくった「The Painted Bird」は、信じがたいほどの怪物的な作品だった。
そして、沢山たくさん、日本での映画の在り方についても考えさせられました。産業としても、表現としても、鑑賞態度としても、です。
ただ、今はひたすら、一緒に審査してくれた審査員のみんなと、英語の不安な僕に同行してくれた俳優の上山学くんに感謝。
エミール・クストリッツァ監督と。そして、あの「アデル」のアデル・エグザルホプロスさんとも写真を撮れました。さらに、学生の頃の先生だった安藤忠雄さんにも、偶然一目お会いできたりして。いい日々だったなあ。
リンクを貼っておきます。「Babyteeth」へのSIGNISからのコメントも載っています。
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